エージェントの新機能: ADK、Agent Engine、A2Aの機能強化

2025年5月20日
Polong Lin Product Manager
Holt Skinner Developer Advocate Cloud AI

Google が思い描くのは、インテリジェント エージェントが単なるツールとしてではなく、コラボレーション パートナーとなって複雑な課題を解決し、ワークフローを効率化して、新たな可能性を解き放つ未来です。この可能性を実現するうえで鍵となるのは、柔軟性と信頼性、そして包括的な機能を提供するプラットフォームを通して、デベロッパーの力を解放することだと考えています。本日は、このビジョンを反映したプロダクト ポートフォリオ全体にわたるいくつかの重要なアップデートについてお知らせします。これまでにない簡単さと機能で、インテリジェント エージェントの開発や管理にあたれるようになります。

今回の機能強化は、堅牢な開発ツール、直感的な管理インターフェース、シームレスなエージェント間通信を提供することに重点を置いています。これにより、次世代の AI ソリューションの強力な基盤が実現します。


開発の信頼性と柔軟性の向上: エージェント開発キット(ADK)

エージェント開発キット(ADK)に重要なイノベーションを追加し、信頼性の高い、アダプティブで洗練されたエージェントを作成できるようにしました。

  • Python ADK v1.0.0: 本番対応エージェント向けの安定版 Python エージェント開発キットの v1.0.0 安定版リリースを発表します。このマイルストーンは、Python ADK が本番対応になったことを示しています。信頼性の高い堅牢なプラットフォームが提供されるので、デベロッパーは安心して本番環境のエージェントを開発し、デプロイできます。Renault Group、Box、Revionics など、すでにエージェント開発キットを使っているユーザーからは、すばらしいフィードバックが寄せられています。

  • Java ADK v0.1.0: エージェント機能を Java エコシステムに拡張 リーチを広げ、Java ADK v0.1.0 の初回リリースを提供します。この仕組みにより、Java デベロッパーが ADK のパワーと柔軟性を活用し、エージェント開発のニーズに応えることができるようになります。


Java ADK を使うには、Maven プロジェクトに次の依存関係を追加します。

<dependency>
    <groupId>com.google.adk</groupId>
    <artifactId>google-adk</artifactId>
    <version>0.1.0</version>
</dependency>
XML

直感的な制御と管理: Agent Engine UI

Vertex AI Agent Engine は、デベロッパーが本番環境でエージェントをデプロイ、管理、スケーリングする際に役立ちます。今回は、Agent Engine UI を導入し、簡単かつ一元的にエージェントのライフサイクルを管理できるようにします。このユーザー フレンドリーなインターフェースには、Google Cloud コンソールからアクセスできます。包括的なダッシュボードから、デプロイ済みのエージェントの表示と管理、セッションの一覧表示、アクションのトレースやデバッグ、エージェントの監視が可能です。この効率的なアプローチにより、開発や管理のプロセスが大幅に改善され、エージェントの動作やパフォーマンスを細かく制御したり把握したりできるようになります。

Agent Engine UI: デプロイ済みのエージェントの検査、指標の表示(リクエスト数や CPU 使用量など)、セッション、デプロイの詳細の確認、トレースの詳細調査などが可能。

シームレスで安全なコラボレーション: Agent2Agent(A2A)プロトコルの進化

エージェントが真の意味で不可欠なパートナーとなるには、エージェント同士が効果的かつ安全に通信できなければなりません。エージェント間で信頼性の高い高度なインタラクションを実現するため、パートナーと協力して Agent2Agent(A2A)プロトコルの改善を続けています。

インタラクションの軽量化とセキュリティ強化

A2A プロトコル仕様のアップデート(v0.2) A2A プロトコル仕様バージョン 0.2 をロールアウトしました。主な機能強化は次のとおりです。

  • ステートレス インタラクションのサポート: このアップデートにより、セッション管理が不要なシナリオで開発が簡単になります。また、通信の効率化と軽量化にもつながります。

  • 認証の標準化: OpenAPI に似た認証スキーマに基づき、認証スキームを明文化しました。エージェント間インタラクションのセキュリティと信頼性が強化され、認証要件を明確に伝達できるようになります。


A2A Python SDK を使って簡単に導入

デベロッパーが使いやすい A2A プロトコルにするため、A2A 用の公式 Python SDK をリリースします。この専用ソフトウェア開発キットで、A2A を使ったインタラクションや開発に必要なツールが提供されるので、Python ベースのエージェントに強力な通信機能を簡単に組み込めるようになります。


新しい A2A パートナーを迎えてますます活性化するエコシステム

業界での A2A の採用は急加速を見せています。A2A エージェントを開発、デプロイ、保護するために、機能強化を行っているプラットフォームも登場し始めています。これは、洗練されたマルチエージェント システムのインフラストラクチャの確立に向けた布石となります。同時に企業は、既存のエージェントを A2A に対応させ、この急成長するエコシステムの他のエージェントとシームレスに通信できるようにしています。直近では、次のようなアップデートが行われています。

  • Box AI エージェントは、日付や契約条件などの重要事項を抽出することで、スキャンや画像といった非構造化コンテンツを実用的なデータに変換します。A2A プロトコルを採用することで、外部エージェントと安全にコラボレーションできるようになり、コンテンツが存在する場所を出ることなく、複雑なマルチシステム プロセスを直接完了できます。

  • Microsoft は、A2A エージェントを開発するための Azure AI Foundry でこのプロトコルをサポートすること、そして Microsoft Copilot Studio に任意の A2A エージェントを呼び出す機能を導入することを発表しました。さらに、A2A を活用して職場の生産性を向上させる方法として、Microsoft Entra Agent ID と Microsoft Graph を使って複数の A2A エージェントを呼び出す方法を紹介しています

  • SAP は、AI アシスタントの Joule に A2A プロトコルのサポートを追加しています。Joule が SAP エコシステムのエージェントをオーケストレーションし、Joule のユーザー インターフェースから Google ADK で開発したエージェントをはじめとする A2A エージェントを呼び出せるようになります。ユーザーはシステムを超えてエージェントにアクセスできるので、コンテキストを切り替えることなく、多くのタスクを実行できます。

  • Zoom は、A2A プロトコルと Agentspace のサポートを組み込むことを発表しました。これにより、オープン プラットフォーム全体でマルチエージェント コラボレーションが推進されることになります。


一緒に未来を構築する

ここで紹介したアップデートによって、信頼性が高く、インパクトがあり、洗練されたインテリジェント エージェント ソリューションを開発できるようになるものと確信しています。ADK、Agent Engine、A2A プロトコルが進化することで、包括的で柔軟なプラットフォームが提供されます。これを活用すれば、どんなに野心的なエージェント主導型プロジェクトでも実現できるはずです。

皆さんが次に開発するものを楽しみにしています。

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この発表と Google I/O 2025 のすべての最新情報は、5 月 22 日以降に io.google でご覧いただけます。